HOME >> 博多ラーメン豆知識
福岡県博多に「博多ラーメン」が現れたのは昭和16年の事です。
当時の中洲にあった百貨店「玉屋」のすぐ側、博多川沿いの一角にラーメン屋台「五馬路」は開業しました。中国の中華麺を再現したもので、鶏がらスープであり、現在の「とんこつスープ」中心の博多ラーメンとは全く違うものだったのです。
では、博多ラーメンを特徴づける「白濁したとんこつスープ」はどこから来たのでしょう?
とんこつラーメンの発祥は博多から30km以上南下した街、久留米市であるというのが定説です。横浜で支那そばを習得した長崎出身のうどん屋のご主人が、スープに長崎ちゃんぽんで使われる豚骨を使う事を思いつき、昭和12年に初のとんこつラーメン屋台「南京千両」を開業したのです。それからとんこつラーメンは久留米を起源として、南は熊本、西は佐賀、北は博多へと、次第に広がりを見せてゆく事となったのです。
スープが白濁するようになったのは諸説ありますが、博多の「赤のれん」または久留米の「三九」を始まりとする二説が有力とされています。特に後者は、たまたまスープを炊きすぎて白濁したのをお客に出したら以外にも好評だったのがきっかけだと言われています。高温で長時間炊くことで、豚骨独特の強い風味を持ちながらもくどくない、洗練されたスープに仕上がるようなのです。
今では九州に広がるとんこつラーメンは、一般的に「太麺」なのですが、博多においては独自の進化をすることとなります。商人の街博多に隣接する魚市場の街、長浜でもラーメンは人気の一品でしたが、市場で働く人たちは皆忙しく、ラーメンを一刻も早く提供する必要に迫られました。そこで少しでも早く麺をゆで上げるために、太かった麺が細く細く変化していったのです。
細麺を特徴とする「長浜ラーメン」は博多の街にも広がり、今では細麺、とんこつスープのラーメンを総称して「博多ラーメン」と呼ぶようになりました。
麺だけを追加して注文できる「替玉」も長浜から始まりました。これは博多以外のラーメン屋ではあまり見られない独特の風習のようです。
中洲・屋台・博多ラーメンは、切っても切れない博多・中洲の「文化」ですが、こうして見ると「博多ラーメン」は決して博多地区だけで生まれ育ったのではなく、福岡やその他九州のあらゆる地域からの影響を受けているのがわかります。注文して手際よく出される「博多ラーメン」の細麺をするするっと味わい、濃厚なスープに舌鼓を打ち、時には替玉をして、心ゆくまで満足してみては如何でしょうか。中洲の川沿いの屋台でなら、その味わいも格別なものになるでしょう。